青のフラッグ感想 その1 二葉の選択
青のフラッグ最終巻が発売されてから、1か月経ちました。
とても思い入れのある作品なので、勢いのまま感想を書きたいと思います。
感想、というか、
一体これはどういうことか、というのを、自分の中で整理したい。
「青のフラッグ」という作品は、読者が、登場人物たちが見たものしか見えない構図になっています。
「〇〇の台詞の意味はこうだよ」という種明かし的なものがなく、
モノローグがある場面では、「あー、こう思ってるんだな」とはっきりわかるんですが、それがない場面では、読者であっても、彼らの気持ちを想像するしかありません。
なので、その想像をまとめて、「こういうことだったんじゃないか?」と考えてみたい。
ネタバレになりますので、折りたたみに続きます。
まず、先に言っておくと、私はトーマ大好きなので、トーマびいきの感想になると思います。。。
最終話を読んでボーゼンとしながら大泣きして、最終巻を読んだあと、また1巻から読み直しました。
もう一回読むと、視点が変わりますね!
最初は太一目線で物語を追っていましたが、今はもうトーマ目線。
1巻のトーマ、どんだけ嬉しそうなんだ!!!!!
はしゃいでる感にあふれてる。
私はトーマ大好き人間なので余計そう見えるのかもしれないけど。
中学のある時期から高3で同じクラスになるまで、ずっとずっと、
話したいけど話せない、
太一はあえて見ないように、トーマは見ているのがばれないように、お互い遠くから見てたんだなあ…。泣く…。
「青のフラッグ」という作品のテーマはいくつかあると思っています。
「人生は選択の連続」
「価値観」
「名前のない関係性」
などなど…
「選択」については、物語上でも、登場人物たちの台詞として何度も出てきます。
選択の結果として、あの太一とトーマのラストがあって、
でも、そのラストでさえ、選択の途中という感じがします。
二葉は不思議な女の子です。
自己肯定感が低く、自分のやることに自信がない。
すぱっと選択できず、結論がすぐ出なくて、ずっと悩んでいます。
でも、二葉とトーマのケンカのシーンで、私はふと思ったんです。
二葉はすぱっと切ることができないんだと。
相手の感情が流れてくる女の子で、切られた側の気持ちが痛いほどわかってしまうんですね。すごく、感覚がフラットなんだと思うんです。
雨の中で太一と話すシーンでもそうです。
「大事な人がたくさんいてはいけないの?」と言ってます。
どこからどこまでが大事な人で、ある境界から向こうの人はすぱっと切る。
真澄ちゃんはそれを意識的にしようとしてますが、
二葉はダメなんだと思うんです。
それは、たとえ上手に育てられなかったとしても切り捨てることができない、大切に接してきた植物たちに向ける視線にも表れてるんじゃないかな。
境界線をひく、それは、自分の周囲の人にランキングをつけるという行為なんですね。
境界の中にはまた境界があって、細分化してゆけば一列のランキングになります。
それは悪いことではなく、自分を助ける行為です。
二葉も、それはわかっているけれど、感情としてできない。
だからたぶん、二葉の中には、男女の友情って存在すると思う。
男だから、女だから、という境界が薄い。
だから、トーマの告白で揺れる太一を思うと不安になる。
だからね、真澄ちゃんは席を立ってしまったけれど、
二葉と真澄ちゃんがくっつく世界線も、可能性はあったと思うんですよ。
告白されたら、真剣に考えてくれたと思う。
でも、真澄ちゃんは逃げてしまったんだよね。自分のために。
親友という立ち場を選択してしまった。
二葉に話を戻すと、
そんな痛々しい二葉だけど、
だからといって、選択の際に妥協したりしてないんですよね。
一生懸命、一生懸命、どうするのが最善か考えてる。
「考えること」、それが彼女の強さだなって思います。
その二葉が「変わろうと思って」行動したのが、
太一に相談することでした。
太一、二葉、トーマの三人の中で、変わろうとしたのは二葉なんですよね。
太一やトーマは、自分や未来に対してあきらめている。
二葉の行動が、あきらめてた太一やトーマを動かした。
自分の選択の結果が自分に返ってくる。
今の自分は、過去の自分の選択の結果。
そして、自分の選択は、他人の選択にも大きな影響を与える。
二葉の「変わりたい」という気持ちは、
結果的に、太一とトーマの未来を変えてしまった。
二葉がいなかったら、あの二人は未来でも「昔の同級生」のままでした。
もし、トーマの告白のあと、トーマと二葉がケンカしなかったら、
話し合わなかったら、トーマはあそこで終わってたかもしれない。
トーマにとって二葉は当初、太一の恋を応援することで友達という立場になれる、
腹黒い言い方をすると、太一の隣にいるために都合のいい存在だったとも言えると思うんですよ。
まあ、この三角関係は、当初「相手の隣に自分がいるために都合のいい存在」が集まってできあがってるところがあったので、、、、みんなお互い様なんだけどね。
二葉も太一の気持ち考えてないし、
太一なんてはっきり「トーマのことなんて考えてもなかった」と言ってるし。
みんな純粋ではないんだよね(褒めてます)。
そういう存在だった二葉、今となってはスキな人の恋人である二葉から、
あのとき肯定されたことが、トーマにとってはどれほど救われたかと思うんですよ。
二葉は「自分は何もしない方がいい、その方がうまくいく」と思い込んでるけど、
とんでもないよ。
他人の人生変えてるよ。
そう思うと、「二葉すごい!!!!」って、めちゃくちゃ思うんですよね。
二葉の、二人とも大事にしたい、という選択は、
二葉の願いは、結果として自分自身の涙になったのかもしれない。
それでも、二葉の選択は確実に彼女自身を強くしていったと思うし、
考えて考えて、前を向いて歩き出したんじゃないかと思う。
その結果が、ラストの結婚式なんだと思うんです。
その2に続きます。
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